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日本の成人の8人に1人、80歳代では2人に1人  慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)って、どんな病気?
 慢性腎臓病とは、慢性的に腎臓機能低下の症状があらわれる様々な腎臓病を指す用語です。腎臓を「病名」ではなく「状態」として見つめることができます。病名にとらわれずに腎臓はどれぐらい弱っているかを把握し、最適な治療方法が考えられるのです。

慢性腎臓病になる仕組み
 慢性腎臓病には、各種慢性腎炎、腎硬化症、糖尿病性腎性などさまざまな病気が含まれます。その為原因も多岐にわたります。

腎臓の機能を知ろう
 私たちの命が維持されるためには「体内に水が充分にあること」そして「水に溶けている物質の成分と濃度が正常であること」という条件が満たされる必要があります。そのために働いているのが腎臓なのです。
 また、体内に不要な物質や毒があるときは、その物質を尿に混ぜて体の外へ捨てます。腎臓の働きのおかげで「水の量と質」を維持できるのです。
 腎臓はこのろ過機能を腎臓の糸球体で行っています。糸球体は細い毛細血管の塊です。この毛細血管から血液中の不要な水分・塩分・糖などがろ過され、尿のもとがつくられます。

原因 高血圧による機能不全
 細井動脈の塊である糸球体が、高血圧で血管に圧がかかりすぎることで腎臓に大量の血液が流れ込み負担が増え、圧により毛細血管が硬化します。
 末梢血管の硬化で糸球体のろ過機能が低下し、塩分と水分の排泄ができず血液中の塩分と水分が余分に残り血圧が上昇します。

原因 高血糖による動脈の硬化
 細井動脈の塊である糸球体が高い濃度の糖を含む血液にさらされると、細い動脈は硬化します。糖はタンパク質(血管)を変性(破壊)させます。

まとめ
 慢性腎臓病は、毛細血管がダメージを受けることでろ過機能が低下する病気です。ろ過できる量の低下と必要な物質か不必要な物質かを正しくより分けるろ過の質が低下する病気です。
 結論は、血液と糸球体の細い動脈をいかにケアするかということです。

慢性腎臓病の検査数値について
(1)クレアチニンが高い(男性1.04以上 女性0.79以上が異常値)
 筋肉が動くときのエネルギー源となる物質から発生する老廃物の一種です。
 通常は血液から腎臓に運ばれ、ろ過されて尿として排出されます。腎機能が低下すると、血液中にクレアチニンが留まります。腎臓の老廃物をろ過する機能が低下すると、クレアチニン値が高くなります。
(2)eGFRが低い、(70以下が異常値)
 腎臓の機能を評価するには、クレアチニン値だけでなく、年齢、性別、クレアチニン値で算出される、eGFR値も参考にしてください。
 低いと異常値になります。腎臓がろ過する能力が低下して、おおむね70%以下が異常値です。健康な人と比べて腎臓の働きが70%以下にまで低下しているということです。
(3)尿素窒素(BUN)が高い(22.0以上が異常値)
 腎臓の不要物をろ過する機能が低下しています。
(4)尿中アルブミン(20㎎/日以上が異常値)
 糖尿病性腎性は慢性の高血糖から起こる毛細血管障害で、タンパク尿、腎機能障害、高血圧、浮腫などから腎不全に到ります。早期発見・治療が大事なので、尿中アルブミンの認められる早期腎性期を診断し、厳格な血糖コントロールで、進行を阻止できます。

人工透析とは?
 腎臓の機能が正常のおおむね10%以下になってくると、人口透析による治療がすすめられます。腎臓の代わりに、体内に蓄積した余分な水分や塩分、老廃物を取り除き、血管を浄化する治療法です。
 血液透析と腹膜透析があります。

治療方法は?
 現代医学の治療法では、慢性腎臓病を治す特効薬はありません。症状を緩和する治療をしても、腎臓自体を元気にしなければ意味がないのです。

食事療法とは
 ポイントは①タンパク質の制限②塩分の制限③カリウム・リンの制限です。
①タンパク質は適当に摂りましょう。
タンパク質を摂りすぎると老廃物が多く出て腎臓に負担がかかります。特に動物性タンパク質や牛乳は、老廃物として溜まりがちです。
②塩分を控えよう
体内では水分と塩分がくっつき、塩分が増えれば水分も増えます。腎臓の負担が増え、機能低下を早めます。
③カリウムやリンを控えよう
慢性腎臓病が進行するとカリウムやリンなどの排泄が難しくなります。カリウムは生野菜や果物に多く、茹でることや水にさらすことで減らすことができます。インスタント食品やスナック菓子などにリンは多く含まれます。